自然と暮らしと血圧の話|第5回
NO=一酸化窒素って、何のこと?
ショウガの記事でも出てきた「NO(エヌ・オー)」という物質。これは「一酸化窒素(Nitric Oxide)」という、体内でつくられる気体分子です。
大気汚染の原因にもなる一酸化窒素ですが、私たちの体の中では、血圧調整や血管の健康維持において、非常に重要な働きをしています。
NOが血圧を下げるメカニズム
NOは、血管の内側にある内皮細胞から放出され、血管の平滑筋に作用して拡張させます。これにより血流がスムーズになり、血圧が自然に下がります。
つまり、NOは体が「自力で血圧をコントロールするための重要なツール」なのです。
NOを生み出す「eNOS」という酵素
NOの生成に欠かせないのが「eNOS(内皮型一酸化窒素合成酵素)」という酵素です。
このeNOSは、運動や深い呼吸、あるいはショウガのような刺激物質によって活性化され、NOの産生を促進します。
つまり、日常生活の工夫や食事の選び方ひとつで、NOの分泌量は変えられるということです。
NOは「血圧」だけじゃない
NOには血管を広げる以外にも、血小板の凝集を抑制する、免疫機能を調節する、神経伝達に関わるなど多彩な機能があります。
だからこそ、NOの不足は高血圧だけでなく、動脈硬化や脳・心疾患のリスクにも関係してくるのです。
次回予告:高血圧と低血圧、本当に怖いのはどっち?
第6回では、「高血圧は危険」と言われる一方で、低血圧の影響については意外と知られていません。
両者を比較しながら、本当に注意すべき状態とは何かを一緒に考えていきましょう。
▶ 第6回:「高血圧 vs 低血圧──本当に怖いのはどっち?」につづく
シリーズ名:自然と暮らしと血圧の話
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