【必見】失敗しない自家製シロップの製造許可を保健所で申請する方法

保健所の申請方法を知りたい!

自家製シロップを作ったから販売したいけど、調べてもどうしたらいいかわからなかった方へ

食品の製造や販売をする場合には保健所の許可や認可が必要になります。その申請をするためにネットで調べても、シロップの製造は食品を製造する上で、何の種別になるのかが検索結果に出てくることはありません。

例えば、自宅でお菓子を作ってインターネットで販売したい場合には、ネットで検索すると「菓子製造業」という種別に入ることがわかります。

シロップの製造になるとインターネットで検索しても明確な回答を得ることができません。検索結果の回答は、どれも悩みを解決してくれるものはありませんでした。

製造する食品の種別によっては、保健所立ち合いによる許可が必要ものなのか、それとも保健所に申請書を提出するだけでいいのか、が決まってきます。

この記事でわかること

  • 自家製シロップの製造種別がわかるようになる
  • 保健所の申請方法がわかるようになる
  • 申請した後、どうすればいいかわかるようになる

この3点について詳しく解説しています。

そして運良く、このブログに辿り着いたあなた悩みはここで解決することができます。

実際に保健所から製造販売許可を得られた体験を元に、これからシロップを製造し、販売するあなたに向けて解説して行きますので最後までお読みください。

保健所で営業許可を得るには

食品を製造して販売するためには許可が必要になります。理由は食品の製造や販売には国が定める参考リンク食品衛生法という法律があり、製造や販売は管轄の保健所で管理されているためです。

その管轄の保健所とは製造する(しようとしている)所在地にある市区町村の管轄の保健所になります。

姜太郎

間違えやすいのですが、現在お住まいの場所ではなく、製造を予定している場所で申請する必要があります。

食品衛生法

そこで食品衛生法の目的を解説しておきます。

厚生労働省 食品衛生法 第一条(抜粋)

この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。

と第1条には書かれています。つまり食品の安全性を確保することにより国民の健康の保護を図ることを明記するようにと規定されたものです。

食品衛生法の種別

食品衛生の影響が大きい物小さい物に分類していまして、食品の種別によって届出の違いがあります。影響の大きいものは営業許可が必要で、影響が小さいものは届出だけでいい、と言う事になります。

その影響の大きい業種は32種あります。営業許可を取得しない限り営業は出来ないということになります。その32業種は下記にまとめました。

参考リンク食品衛生法施行令はわかりづらいので、まとめますと

32業種

  1. 飲食店営業
  2. 調理の機能を有する自動販売機
  3. 食肉販売業
  4. 魚介類販売業
  5. 魚介類競り売り営業
  6. 集乳業
  7. 乳処理業
  8. 特別牛乳搾取処理業
  9. 食肉処理業
  10. 食品の放射線照射業
  11. 菓子製造業
  12. アイスクリーム類製造業
  13. 乳製品製造業
  14. 清涼飲料水製造業
  15. 食肉製品製造業
  16. 水産製品製造業
  17. 氷雪製造業
  18. 液卵製造業
  19. 食用油脂製造業
  20. みそ又はしょうゆ製造業
  21. 酒類製造業
  22. 豆腐製造業
  23. 納豆製造業
  24. 麺類製造業
  25. そうざい製造業
  26. 複合型そうざい製造業
  27. 冷凍食品製造業
  28. 複合型冷凍食品製造業
  29. 漬物製造業
  30. 密封包装食品製造業
  31. 食品の小分け業
  32. 添加物製造業

32業種に当てはまる場合には営業許可が必要になります。

例えば趣味が講じて自宅でお菓子を作って、販売をしたいと思った場合には、第35条の11菓子製造業に当てはまるので営業許可が必要になります。

そのため営業施設の基準に沿った設備や広さが必要になるので、自宅を改装をし営業の許可を得る必要が出てきます。

新たに追加された食品衛生法の要届出業種とは

食品衛生法で許可が必要な32業種と届出が不要な業種の2つに分かれていたのですが、令和3年6月1日に施行された改正により、新たな食品衛生法の要届出業種営業届制度が追加されました。

食品衛生法の要許可業種

飲食店営業、菓子製造業、冷凍食品製造業、そうざい製造業など32業種

食品衛生法の要届出業種

例)野菜果物販売業、菓子種製造業、食肉販売業(包装品のみの取扱)、食品販売業(弁当等)、集団給食など

届出が不要な業種

食品又は添加物の輸入をする営業、運搬業、容器包装に入った長期間常温で保存可能な小工品の販売など

もっと詳しく知りたい方は、こちらの概要食品衛生法をご覧ください。

シロップ製造の申請は「届出のみ」か「要届出業種」なのか

では実際に、シロップ製造は何の種別になるのか、食品衛生法を見てもどこにも当てはまりません。近い品目は清涼飲料水に当たるので清涼飲料水製造業にあたるとしたら、工場のような衛生管理のされた大規模なプラントが必要になるので多分、個人レベルでは不可能になります。

果たしてジンジャーシロップは個人レベルで製造と販売は可能なのでしょうか。保健所に問い合わせしてみることにしました。

姜太郎

先ずは、お問合せフォームで聞いてみよう。

問い合わせ候補として、都内4つの保健所を候補に挙げてメールで問い合わせてみました。

S区の回答

まずS区にメールで問い合わせしてみる事にしました。その翌日には回答が来たので保健所の早い対応に正直私は驚きました。個人レベルの質問に職員の方たちは対応してくれるか不安でしたが、返事にはこう書かれていました。

保険所

ご質問内容を見る限りジンジャーシロップの種別の判断は難しいと思います。製造方法や使用方法、保存方法を考慮した上で必要な許可申請をしていただくことになります。

という回答でした。実際に会って聞き取りして判断しないと何とも言えないということなのでしょうか。私の質問内容が悪かったのかもしれません。

A区の回答

前回説明不足だったのかもしれないと反省し、質問内容を詳しくメールに書いて問い合わせてみる事にしました。次に問い合わせたA区の保健所には、「実際にこういう素材を使って」「こういったものを作り」「この様な保存方法で作りたい」と詳しく明記し回答を待ちました。そしてこちらも翌日回答があり早い対応でした。

保健所

ご質問に記載されている製造方法での製品については許可対象にならないかと思いますが、最終製品が密封された瓶詰商品である場合は対象になる可能性があります。

との回答でした。ある程度、予想はしていましたが自治体によって反応が違うようです。S区とA区に問い合わせをしましたが、許可の可能性は低く感じました。そう安易には営業の許可は得られそうにないと半ば諦めた気持ちになりましたが、同じ内容のメールをT区とE区にも送り回答を待ちました。

T区・E区は共通の回答

保健所

製造するにあたり特別、認可はなく保存方法で決まります。保存方法が冷蔵の場合は申請書のみで良く、常温保存の場合は素材や製造工程、瓶詰工程などを審査する必要があります。

という保健所の担当者からの回答を得ることができ、この回答で少し希望が湧いてきました。これで4つの保健所からの回答を得ることができたので十分な判断材料になりました。次は保健所に直接赴き、担当者の方に直接、商品の概要を伝えて申請の手順を聞くのが目的です。

姜太郎

許可の高そうなE区の保健所に実際に赴きました。

保健所で申請手続き

実際のやりとりです。

Miwa

生姜のシロップを作るにあたって概要を教えてください。

担当者

シロップを製造して販売するための許可は不要です。製造した食品の保存方法が常温なのか冷蔵なのかで申請が変わってきます。基本的に冷蔵で保存の場合は保健所の許可は不要です。

姜太郎

やはり、要らないようだ!

Miwa

自宅で製造販売も可能ということでしょうか?その場合も申請書の提出だけでいいのでしょうか?

担当者

申請書に記入していただければ大丈夫です。インターネットからも受付しています。

Miwa

わかりました。ありがとうございます。


業種が該当しない場合には、担当者個人の裁量によるところがあるのかもしれません。

今回、私たちが訪問したE区の保健所の担当者の判断としては、食品衛生法でいう32業種に当てはまらないので届出が不要な業種であると判断され、業種としては「ジンジャーシロップ製造業」になり、製造と販売の許可を得ることができました。

そして今回の訪問で重要だったのは、食品を製造したあとの保存方法でした。常温保存にすると、食品衛生法の要届出業種になるようなので営業許可は難しいとのことですので注意が必要です。

製造した後は、必ず冷蔵保存を徹底しなくてはなりません。

申請書類と必要書類

申請時に必要な書類

  1. 申請時の書類(届出が不要な業種の場合には管轄のHPからファイルをダウンロードしてください。)
  2. 食品衛生責任者の修了証書(事前に講習を受講しておく必要があります)
    • ※印鑑の用意は不要です

保健所に訪問する前に可能であるなら、申請書類と必要書類を揃えて持参して行くことをお勧めします。なぜなら、再度訪問するという手間を防ぐためであるのと、申請に思ったほど時間が掛からないことです。

それと重要なのが1回目に訪問した時と2回目に訪問した時での担当者が違った場合に「担当者個人の裁量によるところ」があるかもしれないので、1回目の訪問時に感触(スムーズに話が進んで申請が通りそう)があるならばその場で、手続きを進めていただきたいと思います。

反対に1回目の訪問で感触が悪いと感じた時には、1回持ち帰ってから後日、再度訪問してみるのがいいのかもしれません。

上記2点を事前に揃えて保健所に訪問した際にそのまま担当窓口で申請することをが望ましいです。書類の記載事項が不明な場合には担当者窓口で相談しながら記載もできるので心配は不要です。

窓口で申請した理由

インターネットでも申請が可能であると促されましたが、初めての申請で不安があったのと、書類の不備があったらいけないだろうという気持ちと、インターネットで申請して受理されるまでの時間が不明で不安な気持ちでいたくない事などを合わせて窓口で申請しました。

さらに保健所の窓口で対応してくれたの方とインターネット申請の担当の方との認識のズレで許可が出ないことも想定して窓口申請という形にしました。今後、2度3度と申請するならネット申請でもいいのかなと思います。

窓口で提出する理由のもう一つは申請した書類の控えが欲しいという事です。申請書に必ず認可の印鑑が押されますが、その印のついた申請書の複製を持っておきたい事も理由です。

ネット申請だと印の押された申請書の複製は持つことは難しいかもしれません。その申請書を何に使われるのかと聞かれるとはっきりとした理由は言えませんが今後、何かの確認のために書類提出があるかもしれないので保管しておこうと思いました。

申請書の現物控えと注意点

下の書類は実際に許可をいただいた申請書の控えです。個人情報は伏せてありますが、記載する事項はとても少なく、これでいいのだろうかと心許ない印象でした。ですが許可をもらえたことでひとつ前に進むことができ、安堵感でいっぱいでした。

申請書の控え
▲受理された実際の書類です▲

書類を見てわかりましたが書類上部にあります、食品衛生法の行の ○ で囲ってある箇所が、第57条 第1項のところを保健所の方が ○ で囲ったようなので調べた内容をここに記載しておきます。

第57条

営業(第五十四条に規定する営業、公衆衛生に与える影響が少ない営業で政令で定めるもの及び食鳥処理の事業を除く。)を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その営業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

▲申請した際にいただいた冊子▲

ブログ読者様からの相談内容

<ご相談内容>

相談者様

届出だけでいい場合蓋を閉めるだけの瓶詰めで(密閉しない)製造後の保管、販売の際、お客様の保存も冷蔵が条件ということでしょうか?

<回答>

姜太郎

私たちが許可をいただいた保健所では「届けだけ」でいい場合として冷蔵が条件でした。つまり製造後の保管は冷蔵、販売の際(マルシェでは冷蔵庫保管ネット販売でしたらクールで配送)が販売条件であり、さらには食品検査の際の検査条件として冷蔵状態で検査を依頼しているため冷蔵下での結果になります。ですので検査機関の検査結果の消費期限中は冷蔵ということになります。

まとめ

申請場所は製造所在地の管轄の保健所になるのでお間違えないようにしてください。

1回目の訪問時にはでは自宅の調理場でも良さそうな話であったのですが、2回目の訪問時には二次感染の恐れがあるので自宅兼では不可とのことでしたので(幸い私たちは専用の調理場を用意できました)1回目の訪問時にそのまま申請していたら許可が出ていたのかはわかりませんでした。

初めての申請や相談したい場合は事前に連絡し保健所に直接赴いて担当者と相談して申請していただくことをお勧めするのと、担当者がつけば事あるごとに相談もしやすくなると思います。ちなみに申請費用は無料です。

二次感染

調理中の食品が、まな板や調理器具類、あるいは調理する人の手を経由することで細菌やウイルスに汚染されることです。

申請が終わったら次に必ず必要なことがあります。それは食品表示義務であるので、関連記事を一読しておくのをお勧めいたします。
>>合わせて読む【食品表示法】シロップ製造でも必要な成分表示をわかりやすく解説

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