【食品表示法】シロップ製造でも必要な栄養成分表示をわかりやすく解説
保健所の申請は、いかがでしたか?
この記事を読んでいる時、あなたは保健所の申請も無事に終わり、ひと安心しているところでしょう。
もし保健所の申請をこれから行うのでしたら、お時間がある時に読んで参考にしてくださいね。
>>人気記事【必見】失敗しないシロップ製造許可を保健所で申請する方法
実際に申請が終わったら製造と販売ができる様になります。
ワクワクして「さぁこれからどう販売していこうか」と鼻息が荒くなっているかもしれません。
ですが、少し待っていただけますか?
実は、実際にお客様に試飲や販売のサービスを提供する前に、必ずやっておかなくてはいけない事があります。
それは食品表示です。
私はあまり気にしないのですが、食品を買うとパッケージの裏面や側面にカロリーとかタンパク質とか、賞味期限や保存方法などが書いてありますよね。
そのパッケージに記載してある項目は食品を作って販売する上で、避けては通れない道だという事がわかりました。法律により定められた表示基準があるためにメーカーは表示していたんですね。
これは大手食品メーカーだけに限った話ではなく、私も含め、食品を扱おうとしているスモールビジネスのあなたにも関係していますので、最後まで読み進めていただき一緒に解決していきましょう。
この記事の内容
- 表示義務の知識について、全く知らなかった方
- 表示義務は知っていたが、まだ勉強されていない方
という方に向けての記事になります。
では、その表示義務の法律についての解説にうつります。
表示義務の法律
日本には食品表示法という法律があります。その法律の中に表示のルールというものが定められています。そのルールには、食品の製造者や加工者、輸入者または販売者に対して、表示する決まりになっています。
それは、なぜなのでしょうか?
食品表示法の本質
覚えておかなくていいのですが、食品衛生法とJAS法と健康増進法のそれぞれが持っていた表示に関する決まりがひとつになったことにより、表示をする基準の義務と目的を一本化したようです。
義務と目的
- 食品を摂取する際の安全性
- 一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保
売り手側が表示をすることにより、安全と安心を提供する事ができます!
お客さんが買いたい商品のラベルを見て、これなら安全で安心だから買いたいと思ってくれるように作り手側は表示をする必要があるようです。
それは具体的にどういった内容なのでしょうか?
食品表示の3つのポイント
表示のポイントを3つにまとめました。
3つのポイント
- アレルギー関連の表示についての解説
- 栄養成分表示についての解説
- 食品表示内容についての解説
以上の3つを学べば表示方法はマスターできます!
アレルギー関連の表示
食物アレルギーの頻度が高いものや重い症状が出やすい7品目は、表示義務があるようです。
7品目は必ず、表示をしなくてはいけないものです!
その7品目とは、
7品目
- 卵
- 乳
- 小麦
- そば
- えび
- かに
- 落花生(ピーナッツ)
の7品目です。これらの食材を使う場合には表示が義務になっていますので、必ず表示するようにしましょう。
表示の義務はなく表示の推奨は、21品目あります。個人的な意見ですが、現在は21品目に関して表示は推奨となっていますが、将来的には表示が義務になるのではないかと思っています。
推奨表示21品目は、
21品目
- アーモンド
- いか
- いくら
- オレンジ
- カシューナッツ
- キウイフルーツ
- 牛肉
- くるみ
- ごま
- サケ
- サバ
- 大豆
- 鶏肉
- バナナ
- 豚肉
- まつたけ
- もも
- やまいも
- りんご
- ゼラチン
- あわび
私はアレルギー検査をしたことがないので、何のアレルギーがあるかはわからないのですが、普段私が何気なく食べている食材にも反応が出る方は大勢いると思います。
21品目は身近な食材(まつたけ、あわびは置いておいて)ですから、口に入る機会も多いと思いますので注意が必要です。
アレルギーによって重篤になった場合は、呼吸困難や血圧低下、意識消失などのショック状態になることがあります。そして最悪の場合は死に至るケースもあるようです。
食品表示内容の解説
上記の図を分解して順番に解説していきますね。
①:栄養成分表示の解説
表示する名称は決まっていますので、必ず「栄養成分表示」としてください。
②:食品単位についての解説
「100g」・「100ml」・「1食分」・「1包装」などの1単位当たりの量を表示します。
シロップですと「100mlあたり」の表記でいいと思います!
③:表示する順番
表示する順番も決まりがあります。
ここ大事!
- カロリー(熱量)
- タンパク質
- 脂質
- 炭水化物
- ナトリウム(食塩相当量で表示)
この順番で表示することが決まっています。
表示させる順番の条件は一緒ですが、横並びで表示する方法です!
ここ大事!
上の図の様に、表示するスペースがない場合は、横に並べて表示することができます。
例)栄養成分表示 ○○グラムあたり/熱量○kcal、たんぱく質○g、脂質○g、炭水化物 ○g、食塩相当量○g
小さい容器など表記するスペースが狭かったり、小さかったりする場合は、こちらの表記方法でいいと思います。
④:食塩相当量とは
食塩を入れている場合に、実際に入れている量を表示する必要はありません。
減塩を推奨する観点から、「食塩の量(ナトリウム量)」よりも「食塩相当量」として表示した方が分かりやすいため、ナトリウム量を食塩相当量で表示することになっています。
以上が、成分表示をする時の4つの注意事項になります。各項目の数値は成分検査に出して栄養成分を調べてもらうことになります。それを元にラベリングして商品の外装に貼り付けるという流れになります。
表示するフォント(文字)の大きさにも決まりがあります!
チェック
表示に用いる文字や枠の色は背景の色と対照的な色を使います。文字の大きさは8ポイント以上で表示します。また、表示可能面積がだいたい※150cm2以下の場合は5.5ポイントの大きさで表示することができます。
※150cm2の大きさの目安は、おおよそハガキの大きさです。
以上に注意してくださいね。
表示内容の解説
成分表のほかに、このような表示もしなくてはいけません。
上から項目ごとに解説していきます!
①:名称の表示について
「名称」を代えることができます。「品名」・「品目」・「種類別」・「種類別名称」に変更が可能です。
②:原材料と添加物の表示方法
原材料の表示方法
原材料名は使用した原材料を全て重量順に表示するのが原則になっています。
原産地の表示方法
令和4年4月1日から、全ての加工食品は原産地の表示は義務になります。シロップも例外ではありません。必ず表示するようにしましょう。
重量の割合が 1 位の原材料は表示が必要です。
買ってくれるお客様からすれば、できるだけ多くの原材料の表示をすることが望ましいと思います。
原材料の欄に、アレルギーや遺伝子組換え、原料原産地に関する表示をします。
食品添加物の表示
食品添加物の表示は、全ての添加物の物質名を添加物に占める重量順に表示して、原材料と分けて記載します。
そして原材料と添加物の区別が明確になるように改行して表示する方法と、スラッシュや中線による表示する方法の2つのパターンがあります。
改行する方法です!
原材料の中に記載する場合はスラッシュ「/」を挿入します!
以上が添加物の表示方法です。
次は賞味期限について解説します。
③:賞味期限の決め方
賞味期限とは品質保持期限とも言います。未開封で品質が変わらずにおいしく食べられる期限のことです。
ではその賞味期限はどのような方法で決めればいいのでしょうか?
厚生労働省と農林水産省のガイドラインでは、
食品の特性に十分配慮した上で、食品の安全性や品質等を的確に評価するための客観的な項目(指標)に基づき、期限を設定する必要がある。
<<参考 厚生労働省 農林水産省
と書かれています。
つまり客観的な項目(指標)とは、「理化学試験」、「微生物試験」、「官能評価」の検査をすることです。
数値化することで、安全と安心の担保になるということになります。
それぞれの試験の名前は覚えなくて大丈夫です!
専門の検査機関に検査を依頼して、検査結果をもとに「賞味期限を決める」ことになります。
なんとなく、このくらいの期間なら大丈夫だろう!!
では、いけません。
必ず専門の検査機関に依頼する様にしましょう。
専門の検査機関を「登録検査機関」と呼ぶのですが、政府の認定を受けた代行機関になります。全国の一覧がありますのでご覧ください>>登録検査機関一覧(令和3年5月19日現在)[XLS形式:55KB]
ちなみに私たちは、食品微生物センターという検査機関に依頼をしました。依頼方法や検査結果の報告内容になっています。気になる方はご覧ください。
>>合わせて読みたい【検査依頼】栄養成分表示をするために必要なカロリー検査と賞味期限検査について
表示はこのようにしていただければいいと思います。
④:保存方法の表示
登録検査機関にシロップの検査を出すときに、どういう状態で検体を出したかによって変わってきます。つまり、常温で依頼したのか、10℃以下なのか5℃以下なのか。
この検査により保存方法が決まります。私たちは5℃で検査をお願いしたので、「要冷蔵5℃以下」の表示になります。
⑤:販売者・製造者の表示
表示責任者は氏名または名称と住所の表示が必要です。製造場所や加工された場所で食中毒が発生した場合の問合せ先として表示する必要があります。
食品表示法違反のペナルティ
表示違反をしたら様々なペナルティが待っています。ペナルティの内容は、消費者庁 早わかり食品表示ガイドで説明してありますので詳しく知りたい方は読んでみてください。
違反することで最悪の場合は業務停止になります。違反行為は知らなかったでは済まされることではないので、必ず食品表示は守って、安心で安全な食品を提供していきましょうね。
まとめ
今回の記事は、食品表示法という法律に触れてみました。食品を安心、安全に提供するために法律を学ぶことに関して重要であることが理解できたと思います。
食品表示は商品を買う人にとって、信用するものですから、賞味期限の改ざんや産地偽装などの事件があるたびに、わたしは悲しくなります。ニュースでの出来事はしばらくすれば、誰もが忘れてしまいます。ですがそれで健康被害に遭われた方は生涯忘れることはないし、二度と買うことはないでしょう。
人の命に関わる仕事をしているのだという認識を持って続けていきたいと思います。